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2013/01/28

オブ・モンスターズ・アンド・メン アイスランドのニューカマーが魅せる個性豊かな“ポップ・ワールド”

 アメリカ、ヨーロッパでは、1000人以上のキャパの会場を軒並みソールド・アウトにしている今世界で最も注目されているアイスランド出身のニューカマー、オブ・モンスターズ・アンド・メンが、日本での初来日公演を1月24日に原宿アストロホールにて行った。

 元々は6人編成で活動してた彼らだが、ピアノやアコーディオンを担当してメンバーが昨年後半に脱退したこともあり、今回はヴォーカリストのナンナ、ラッギを中心としたメンバー5人に、サポート・メンバー2人の編成でのステージとなった。メンバーが登場するやいなや会場は歓喜の渦に。これから語られる壮大な物語の序調とも言うべきアルバムのオープニング・トラック「Dirty Paws」で演奏がスタート。ナンナのハスキーでしっとりとしたヴォーカルとラッギの土っぽい鼻にかかった歌声が絶妙にマッチし、ドラマチックにライブの序盤を飾る。その後もボードヴィル調の「From Finner」やブリニヤルが奏でる歪むギター・サウンドがシューゲイザーチックな「Slow And Steady」など比較的メロウなナンバーが続く。

 そしてラッギの「この曲では、僕たちはバンドと一緒に、ナンナの問いかけに応えるように歌うよ。こんな風にね。」と練習の時点で会場との息もピッタリな「Mountain Sound」の軽快なイントロがスタートすると、観客は即座に踊りだし、メンバーの演奏も一気にヒートアップ。「次の曲はカヴァー曲よ!」と始まったのは、ヤー・ヤー・ヤーズの4thアルバム『It's Blitz!』より「Skeletons」。元は、ロック調のエレクトロ・ナンバーだが、彼らのバンド・サウンドの中核にある民族的なビートと緩やかなトランペットの音色によって新たな生命が吹き込まれ、その世界観に違和感なくピタリとはまっていく。ナンナのスモーキーでほろ苦い歌声にドラムのアルナルが奏でる哀愁漂うアコーディオンが優しく寄り添う「Love Love Love」は、ライブだと更にエモーショナルで胸に突き刺さる生々しさがある。そしてライブ当日にミュージック・ビデオが公開された彼らの最新シングル「King And Lionheart」の演奏が始まると、会場は空気は一変、一気に暖かさが溢れるハッピーな空気に包まれ、客席からは自然と手拍子が沸き起こる。

 メンバーの個性がバラバラなのも、よりそのサウンド、そしてバンドとしての面白みが感じられる部分で、凛とした表情、カラフルでパンキッシュないでたちから『Post』時代の若き頃のビョークを彷彿させるナンナ。「この曲は来日中に訪ねた猫カフェに捧げる」など、多々会場を爆笑の渦に巻き込んだユーモラスで憎めないキャラクターのラッギ。一際目を引くカラフルなフリンジがついたシャツを身にまとったアルナルの全身を使ったダイナミックで表現力豊な演奏と観客を楽しそうに煽る姿も微笑ましい。

 「次の曲の準備はいい?」のナンナのかけ声とともにおもむろに演奏がスタートしたのは、デビュー・シングル「Little Talks」。コーラス以外の部分も完璧に歌いこなす観客を前にメンバーもとても嬉しそう。中盤では、サポート・メンバーのラグンヒルドゥールによる絶妙なトランペット・ソロも披露され、本日一番の大歓声が上がる。続く「Six Weeks」にてメンバーと観客の相互作用は最高頂へ達し、本編が終了。アンコールではアコースティック・ギターによるオーガニックなメロディが心地よい「Sloom」、日本盤のボーナス・トラック「Numbers」、そしてラストではアルバムのラスト・ナンバー「Yellow Light」を披露。ナンナとラッギの掛け合いから静かに始まり、キーボード、トランペットの旋律、メンバーの淡々としたコーラス、そして後半ではナンナがエネルギッシュに打ち鳴らすフロアタムの躍動感のある音色が重なり合い幻想的な音世界が広がる。割れんばかりの拍手の中、演奏が終了。メンバー全員並んで律儀にお辞儀をし、ステージを去って行った。

 まだ20代前半の彼らだが、確かな演奏力、そしてアレンジ力で、観客を自然と惹きつけ、国境の隔てなく万人が共感できる“ポップ・ミュージック”の奥深さ、そしてライブの醍醐味が感じられるステージングを魅せてくれた。唯一残念だったのはステージが狭く、右サイドにはドラム、左にはサポートメンバー2人が座っていたこともあり、ライブの大半、ブリニヤルとクリスチャンがナンナとラッギの後ろに隠れてしまっていたこと。次回はさらなる成長、名実とともにより大きなステージに帰って来てくれることを期待し、その日を楽しみに待ちたい。

【NEXT BREAKERS vol.5 feat. OF MONSTERS AND MEN セットリスト】
2013.01.25 原宿アストロホール

Dirty Paws
From Finner
Slow And Steady
Mountain Sound
Skeletons (Yeah Yeah Yeahs cover)
Your Bones
Love Love Love
King And Lionheart
Lakehouse
Little Talks
Six Weeks

Encore:
Sloom
Numbers
Yellow Light

Photo: Kazumichi Kokei

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